金曜(8月27日)は建築主事の試験でした。
試験会場は大阪府合同庁舎一号館。
午前9時半前、
長机が並べられた試験会場へ入ると
開始30分前ですでにかなりの人が入っていました。
一つの長机に2人ずつ座るようになっていて、
僕が自分の席を見つけて座ろうとすると、
同じ長机ですでに着席していた若い女性が
微笑を浮かべて会釈をしてくれました。
僕は微笑を浮かべるほどに出来た人間ではないので、
会釈だけをしました。これは幸先がいい。
試験まであと30分程度あります。
僕は、試験直前にほとんどの人がそうするように、
パラパラと問題集や法令集を見たりしていました。
けれど、ほとんどの人がそうであるように、
そういう動作をしているだけで頭には入っていません。
僕はちらりと横を見ると、彼女は何もしておりません。
彼女は法令集を机の右上隅に置き、その左に筆記用具を置き、
自身は凛と座り、茫洋ささえ感じさせる佇まいをしておりました。
す、すばらしい。
僕は潔さと聡明さを感じました。
これは真似るべきである、と思い、
僕は開いていていた法令集と問題集をパタリと閉じ、
机の左上隅に置きました。そしてその右には筆記用具を置きました。
そして腕を組み、固い椅子にどっしりと落ち着けて座りました。
それにしても彼女はいくつくらいなのだろうか。
午前中の試験時間は1時間45分。
僕は僕なりの集中力を発揮し、
20分を余して一通り問題をやり終えました。
横の彼女はまだ終わっていないようです。
先ほどは彼女に
(僕の想像上の)クールな聡明さを見せてもらいました。
ならば今度は私が見せる番であろう。
そう思い、僕は問題用紙と解答用紙を整理し、
姿勢を正し“僕はもう終わりました”と無言のメッセージを送りました。
このメッセージ、恐らく届いたでしょう。
そう想像して、僕は見直しを始めました。
11時50分、試験終了。出来はまあ良い方でしょう。
昼休み。
食事で満足していい気分になるといけないので、
僕はおにぎり二つだけを食べました。
彼女は自らがこしらえてきたと思われるお弁当を食べていました。
そのときに受験票も見ました。
生年月日を見ると、僕より8つ上です。
ということはまさに30代半ば。
思っていたより年上でした。
彼女は食べ終えた後、
午前中の問題について前や後ろの席の男性と少し話をしていました。
どうやら同僚のようです。
いかんいかん、こんなことばかりしていては。
そう思い、僕は鞄からウォークマンを取り出して、
長渕やA7Xの深い哀切を備えた曲を聴き、
気持ちを鎮め、かつ高めました。
午後の試験は15分の説明の後、13時15分からでした。
午後の試験ではA2サイズの図面が2枚配布されました。
それを使っての審査の実施試験です。
僕は潔く聡明な彼女になるべく迷惑をかけないよう、
あまり図面が彼女のスペースを侵さないように
気をつけながら問題を解いていきました。
と思っていたら、
少しではありますが逆に彼女が私の陣地を侵してきました。
むむ。
潔く聡明ではあるかもしれませんが、
淑やかさには少し欠けるのかもしれません。
まあよろしい。
こういうときこそ私の紳士ぶりが際立つはずだ。
僕は静かに、図面を自分側に寄せて
彼女の侵略を淑やかに受け入れました。
午後の試験はなかなか骨が折れましたが、10分余りを残して一応終了。
見直しをして、一部回答を書き換えてしまいました。
だいたいこういうのは凶と出るのですが。まあよろしい。
そして試験終了。
ああ疲れた。
もしかしてどこかで会って(たぶんどこかの役所)、
僕がとても気分が良くて、
受験票で見た名前をまだ失念していなかったら少し話をしてみよう。
おつかれさまでした。
結果は12月中旬のようです。
受かるといいけど
(僕の経験上、控えめに言っておいた方が結果がよい)。
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