KSE(関西建築構造設計事務所協会)設立40周年記念事業第39回公開講演会に行ってきました。
講師は慶応の大木聖子先生、
演題は『いつか必ず来る南海トラフ巨大地震から命を守るために-東日本大震災からの教訓-』。
下の写真はご自身のHPより。
話の内容はいつものお話。
日本が地球で占める陸地面積は1%以下なのに、地球で起こる地震の10%が日本で起きている。
日本はまさに地震国である。
地震とは何か。それは地面が揺れることでも、ナマズが暴れることでもなくて、岩が割れること。
地震動と地震は違う。マグニチュードが1違うだけでエネルギーは32倍違う。
等々、地震の基礎知識。
そして東日本大震災が何であったのか。想定外の意味。防災意識向上に向けた啓発。
そういう知識や意味はこれまでにも聞いてきたし、読んできた。
けれど今回のセンセイの話は僕にとってほとんど感動の域に達した。
僕がセンセイの講演をはじめてきいたのはたしか3年前くらい。
そのあとも2回くらい話を聴いたことがある気がする。
はじめてのときで感銘を受けた。
美人であるという要素がないとは言わないけど、
自分の仕事に打ち込むまっすぐで芯がありそうな姿勢と情熱、
そして聞いている人に伝えようとする姿に感銘を受けた。
纐纈(こうけつ)先生との共著『超巨大地震に迫る』も読み(そのときの記事)、
普段見ない『情熱大陸』を見て、
先月は山田まりやさんのラジオ『午後のまりやーじゅ』に出演されていたので聴いた。
しかし講演にいらっしゃったときにあいさつにうかがったことはない(どうもできなくて...)。
で、今回何に感動したか。
ものすごくえらそうな言い方しかできなくて恐縮ですが、
センセイの成長というか進化ぶりやその方向に感動したのです。
一言でざっくりいえば、
以前(あえていえば東日本大震災前)は知識の普及のためにお話されていたのが、
今は意識の向上と啓発のためにお話しされている(ように感じた)。
そして素晴らしいことにお話の腕が格段にあがっている。
話が上手くなったというよりは、伝えるのがうまくなった
(こんな言い方でおこがましいのですが)。
もちろん技巧もあがった。
印象に残ったことばがいくつかある。
- 以前の私は地震は危険だということを、
- いわば“赤信号は止まれで、青信号は進め”ということを、
- 説明していたに過ぎなかった。
- そんなことはみんな分かっている。
- それなのになぜ交通事故は絶えないのか、
- その部分を説明し、伝える必要があった。
そう思ったからこそセンセイは震災以降、
心理学を以前より勉強されて、
本の上だけでなく老若男女いろいろな人たちと実地で会い、
話をし、伝えようとしてきた。想像ですけど。
センセイは小中学校にもよく足を運んで防災教育を行っている。
講演の中でセンセイが避難訓練の仕方を監修?というか提案した
高島第一小学校の生徒の映像を見せてもらった。
6年生が卒業式の練習を体育館でしているときに揺れた。
その後がすごい。各生徒が揺れを感じるや否や“全員が”各自の椅子の下に潜り込んだ。
すごいスピードよ。
やりゃあ身につくのよ。
教室から校庭まで何分で避難できたかタイムを計るだけじゃ全然だめなのよ。
そんなメッセージがこもっていた。
- 私たちはこの子たちを教育しなければならない。
- なぜなら必ずこの子達が生きている間に地震は起こる。
- それを知っているのに教えないという選択肢はあり得ない。
今は防災グッズを常備しているとか、どう避難すべきを知っているとか、
家具に倒れ止めをつけている人は少数かもしれない。
でもそれをマジョリティにしていかなければならない。
知るだけではだめで、身につけなければいけない。
- 身につけるべきは知識ではなく、意思決定する力
だと。
そうそう、「想定外」の意味について話されていたこと、おもしろかった。
- 科学の「想定外」と工学の「想定外」は異なる。
- 科学のそれは“起こりえないもの”で工学のは“設定するもの”である。
僕は世間で「想定外」ということばが批難を浴びていたときに思っていたもんね。
「想定」があるんだから「想定外」があるのは当たり前だろう、と。
何かを想定する以上、想定外は起こりうる。
問題は想定の仕方のはずなのに、想定外まかりならん!という感じで嫌だった。
なにはともあれ、
センセイ、これからもお身体に気をつけて、
のびやかに、みずみずしく、この仕事を続けてもらいたいと思います。
『学ぼうBOSAI』でも勉強できますよ。
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